例 え ば こ ん な ク リ ス マ ス
1 
「じゃあ、青学の全国制覇を祝して」
「かーんぱーい!」
全国大会も終わり、すでに3年生が引退した12月のクリスマス。
かつての青学レギュラーが集まって、パーティー(らしきもの)をやることになった。
理由は、まあ、思い出づくりのようなものだ。
あと数ヶ月もすれば、3年生は中等部から卒業していってしまう。
とは言っても、ほとんどは青学の高等部に進むから離ればなれになることはないのだが、手塚は4月からカリフォルニアに留学してしまうため、このメンバーで多くの思い出を作っておきたいと、不二以下3年生部員は考えたのだ。
みんなで話し合った結果、会場はリョーマの家。
本人は「寺でクリスマスってのもなんだか嫌なんスけど」とは言っていたが。
「英二、やっぱり今更全国制覇のお祝いって言うのもどうかと思うんだけど…」
乾杯の挨拶を任せられた大石が、戸惑った表情で菊丸に問いかける。
確かに彼の言うとおり、年末にもなって、夏から秋にかけての全国制覇のお祝いをするのは無理があるだろう。
「まあまあ大石、細かいことは気にしない」
「そうそう、みんなで楽しくできればそれでいいじゃん」
もっとも、菊丸にしてみれば、何か全員で集まれるきっかけがあればそれでいいのだが。
「そうだ、桃と海堂はしっかりやってる?」
「今や部長・副部長だもんな〜。ちゃんと喧嘩しないでやってんのか?」
「それが聞いてくださいよ、こいつ全っ然、俺の言うことなんか聞きやしないんですよ〜」
「え?」
「言うこと聞かないのはコイツの方っすよ。 俺が注意したって聞く耳持たねーし」
「いや、だって海堂が、今までより更に練習量増やすとか言いやがるんですよ!?
これ以上練習増やしたら疲れて死にそうなんですよ!
そんなんで部員が減ったらどうすんだって言ってんのに、こいつ俺の言うこと聞かないんですもん〜」
泣きまねをしながら菊丸に縋り付く桃城を見て、どっと笑いが漏れる。
「俺は前のままの練習量でいいと思うけどな。
みんながみんな海堂みたいに練習熱心な奴ばかりじゃないからね、逆に練習意欲を低下させかねない」
「海堂が頑張ってるのは俺も知ってるけど、それを全員に押し付けるのは無理があるかもしれないな」
「…っ………」
乾と大石が宥めるように横から口を挟むと、海堂もさすがに黙り込んでしまった。
だが。
「そうか? 俺はもう少し練習量を増やしてもいいと思っていたが…」
「え、ええっ!?」
「もっと走り込みを強化してもいいと思っていた」
さりげなくとんでもないことを呟く手塚。
手塚曰く練習が足りなかったというあの頃ですら、グラウンドを走る回数が陸上部よりも多いと言われていたテニス部だったのに。
それ以上に走り込みを増やそうと思っていたなんて。
思わず大声を出した桃城だけでなく、海堂の顔までが恐怖で少し引きつっていた。
Back Next